金縛りにあってみたい

0pt   2018-09-08 10:27
都市伝説・・・奇憚・・・blog

252:1:2006/12/18(月)13:02:58ID:2lPskBxm0
中学生くらいのころの話。
僕は正直、お化けとか霊とかは信じていない。
(もっと言うなら、オカルト全般を信じていないし、占いも嫌い)
けれど、一度だけ、未だに説明がつかない体験をしたことがある。
それは同時に、人生でダントツで怖い体験だった。

僕は中学生になるまで、「金縛り」と言うのを体験したことがなかった。
テレビや人の話でその単語が出るたびに、僕は
「金縛りにあってみたいなぁ」
と思っていた。

時々、父や母に「金縛り」について色々聞いてみたりするのだが、
「脳だけが覚醒しているのに、体にその指令がいかなくて・・・」
などと、原理の説明をしてくれるだけで、大事なところは聞けずじまいだった。
僕が知りたいのは、「金縛りの感覚」そのものだったのだ。

しかし今思えば、誰かに
「クシャミってどんな感じ」
と聞かれても相手に納得させるだけの説明をするのは難しいように、こういう生理現象は言葉では上手く表現できない。
それが余計に「金縛り」についての興味を掻き立てた。
それは本当に純粋な好奇心からくるものだった。

そして、望んでなれるものでもないだけに、
「僕は、もしかしたら金縛りにならない体質なのか」
と、いつしか心のどこかで焦るまでになった。なんだか変な話だけれど。
(僕はその頃、金縛りと同じように、『足がつる』という現象にも同様に憧れた。結局それはしばらくして、高校でクラブ活動中に叶った。)



255:2:2006/12/18(月)13:10:25ID:2lPskBxm0
ある夜、僕は自分が夢の中にいるな、と言うことに気がついた。
直前までの記憶が、あぶり出しみたいに脳に広がってくる一瞬の感覚。
つまり、僕は自分の部屋のベッドで眠り、夢を見ている。
おかしな夢だった。…たいてい夢というものはおかしいものだ。
そして、他人に話すと意外につまらないものだ。

けれど、その日の夢は特に異質だった。
つまり、あまりにも普通すぎたのだ。
僕は自分の部屋のベッドで眠っている。そして、夢の主人公である僕は、
「眠る僕を客観的に見つめていた」
のだった。

ああ、僕が寝ているなと僕は思う。しばらく僕は「眠る僕」を見つめる。
僕は六畳の広さの自分の部屋の真ん中に立っている。
部屋には勉強机があり、本棚があり、ベッドがあり、その上に僕が寝ている。

僕はもう一度考える。
「ああ、僕はぐっすり眠っているんだな」
と。

突然、違和感がする。そして僕は目覚める。
感覚が眠っていた僕に戻る。
しかし、体が動かない。僕は目覚めたはずなのに。
僕は思う。
「これがあの、金縛りなんじゃないか」
と。

しかし、今ならわかるのだけれど、それは絶対に金縛りではなかった。
僕はさっき感じた違和感が、まだ消えていないことに気づいている。
なんだかおかしい。何かがおかしい。
僕はまだ、目覚めていないのではないか?と思う。
しかし僕は確かに呼吸している。その感覚が確かにある。

汗が止まらない。違和感が消えない。消えないどころか、それは大きくなっている。
違和感の正体が、僕にはわからない。頭が上手く働かない。ただ、
「絶対に変わるはずのない事が、変わってしまっている」
という漠然とした感覚だけを感じていた。だから目覚めたのだ。



256:3:2006/12/18(月)13:15:02ID:2lPskBxm0
違和感の正体に僕は気づく。というより、
「変わってしまったものの正体」
に僕は気づいた。つまり、もう引き返せない所まで事態が進んでしまったということだ。
今感じているのは、異変の予感ではなく、異変そのものだったのだ。

僕はゆっくりと、真横に引き寄せられていた。
重力の方向が変わったみたいに、僕は横に落ちていたのだ。
「嫌だ」
と僕は思う。そっちに行きたくない、と思う。

しかし体が動かない。いや、違う。動かしてはいけないのだ、と思った。
ルールで決まっているから、という感じだった。体は動きませんよ、と。
僕は怖かった。僕は気づいてしまった。ああ、クローゼットだ。
僕は部屋の壁にあるクローゼットに向かって落ちていたのだ。

そんな所には行きたくないと僕は思った。嫌だ、嫌だ、嫌だ。
汗が止まらない。落ちていく感覚。嫌だ、嫌だ、嫌だ。
僕は部屋の真ん中に誰かが立っているような気がした。
確かな悪意を僕は感じた。

嫌だ。そっちには行きたくない、と僕は全身に力を込めた。



258:終:2006/12/18(月)13:25:10ID:2lPskBxm0
僕は落ちる感覚が無くなっても、しばらくの間、動けなかった。
汗が止まらない。怖くて目を開けられない。

20分程そのままでいると、誰かがドアを開けた。弟の声だった。
「おやすみ。もう寝た?」
と彼は言った。
僕は搾り出すようにして声を出した。
待ってくれ、怖かったんだ、と。




それからしばらくして、ちゃんと金縛りにもあった。
なんだ、動けないだけじゃんか、というのがそのときの感想だった。
僕は未だにあれがなんだったのか説明ができない。

ただ、僕は怖くて、その後しばらくは、クローゼットを開けないまま生活した。
もともと物置同然だったので、あんまり開けることもない場所だったのだ。
僕は幽霊やお化けは信じない。けれど、説明できないこともあるのかな、と思うようになった。あまり深く考えたくないから。



引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話をあつめてみない?153
https://hobby7.5ch.net/test/read.cgi/occult/1166257709/252-258




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