ーハルさんー <オオ○キ教授シリーズ>

0pt   2018-01-13 20:37
都市伝説・・・奇憚・・・blog

781 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/10/05(日) 13:40:08 ID:MDy0AQwp0
ハルさん 前編 1/12

翌日になっても、教授の熱は引かなかった。
とりあえずチェックアウトをし、ホテルで聞いた総合病院にタクシーを回す。
教授の性格からして、熱があっても奈良に行くって言うかなと思ったけど、おとなしく診察を受けてくれた。

午前いっぱいはかかるという解熱用の点滴が始まったとき、私たちのベッドにやってきた人がいた。
30歳前後の容姿の整った男性で、名前を晴彦と名乗った。
…教授の息子さんだった。
夕べ、兄貴から連絡が行き、駆けつけてくれたのだという。

「そろそろ自分の歳を考えなよ、父さん」
ハルさんの軽口に、教授は、歓迎しない面持ちで答える。
「お前の顔を見たら、余計に具合が悪くなった」
もうっ。なんでそんな言い方するかなあ?見てるこっちがハラハラするよ。

ハルさんは一向に気にしない様子で、自分の携帯の画面を教授に向けながら、言った。
「昼前には母さんも来るから。もっと熱が上がるかもね」
画面に出ている着信メールの文面には、
『晴彦へ。いま、大阪駅を出ました。あまりお父さんにつっかからないように』
と書かれている。
ハルさん、守ってないじゃん(笑)。



782 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/10/05(日) 13:41:07 ID:MDy0AQwp0
ハルさん 前編 2/12

すぐに教授が寝てしまったので、私とハルさんは処置室から出て、待合のベンチで話をすることになった。
「どうもすみません。ご迷惑をおかけしまして」
と良識的な挨拶をしてくれるハルさん。
教授に向かってないときは、ごく普通の人なんだ(笑)。
「こちらこそ、教授に無理させちゃったみたいですみません」
と、私も謝る。

「昨日の行程はそんなにきつくはなかったんですけど、教授、ちょっとボケてたし、もともと調子が悪かったのかも」
と付け加えると、ハルさんは、
「【あれ】のルーツを調べていたんですってね。親父は、あの壷のことになると、かなり神経質になるんですよ」
と、私に非がないことを重ねて強調しながら、続ける。

「恥ずかしい話ですが、親父とお袋は離婚していまして。その理由も、どうも、あの壷の呪いとやらがお袋とオレに降りかかってこないようにという配慮があったみたいなんです」
「…離婚されたのは、教授から聞いてましたけど…」
そんな理由だったなんて…驚いた。
「馬鹿でしょ?妄想もたいがいにしやがれ、ですよね」
苦笑しながら吐き捨てるハルさんは、教授と離れて暮らしてることを、納得してないように思えた。



783 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/10/05(日) 13:42:06 ID:MDy0AQwp0
ハルさん 前編 3/12

ハルさんは、仕事の関係上、現在は岡山で暮らしている。
お母さんは大阪なので、ハルさんのほうが一足先に広島まで着くことができたらしい。
お母さんが病院に着いたら、入れ替わりに、ハルさんは私を家まで車で送ってくれるという。
そこまでしてもらうと心苦しいので断ると、
「途中で藤原京にも寄ってあげますよ。興味あるでしょ?」
と、心中を見透かされた。
…はい。一人でも行こうと思ってました(汗)。

それでも、
「家まで送ってもらうとなると、ハルさんは、また岡山まで帰ってこないといけないわけだし…」
と逡巡したけど、
「いや。もうそのつもりですから」
と聞かない。
やっぱり教授の息子さんだ…。



784 :オオ○キ教授 ◆.QTJk/NbmY :2008/10/05(日) 13:42:56 ID:MDy0AQwp0
ハルさん 前編 4/12

よくよく話を聞いてみると、ハルさんは、私を送ってくれるついでに、今晩は兄貴のお寺に泊めてもらうよう。
「住職と会うのは3年ぶりぐらいかな。電話ではちょくちょく話をするんですが」
兄貴からはハルさんのことを聞いたことがなかったので、驚いた。
「ハルさんと兄貴が知り合ったのって、やっぱり、あの甕がきっかけですか?」

と尋ねると、ハルさんは、バツが悪そうに頭を掻きながら、
「そうなんですよ。高校生のときに、初めて、親父にあの寺に連れて行かれて、オレも供養…供養って言うのかな?…を受けました。お兄さんはまだ養子に入られてなかったので、会ったのは数年後になりますが」
と、言った。
兄貴がいまのお寺に婿養子として入ったのが7年前だから、その頃からの付き合いってわけかあ。長いよね。

「兄貴は、仏門に入ってからしばらくは、家に寄ることがなかったので、ハルさんのことは全然知りませんでした。ごめんなさい」
非礼を謝ると、ハルさんは人懐っこい笑顔を浮かべて、
「オレは住職の妹さんのことはよく聞かされていましたよ。紹介しろとさんざん迫ったけど、断られまくった経歴もあります」
と冗談を返した。

なんかいいな。ハルさんって。
気さくで楽しい人。

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